2008年6月23日月曜日

iPhoneアプリについて考える

最近、僕の周りの敏感な奴らがこぞってiPhoneアプリの開発をはじめている。
それは当然なことだとおもう。
久しぶりにアプリケーションを開発する大きな(少なくともそう感じられる)単一のプラットホームができたのだ。windowsが出てきて以来ではないか。
そこで金を稼ぎたいひと、名前を売りたい人が出てきて当然だし、感度のいいギークがそれになだれ込むの当たり前のことなんだよね。

しかし久しぶりである。
日本の携帯みたいに様々な機種に適合する必要もなく、単一プラットホームを考えればいいだけだし、しかもSDKが充実していてしっかりした物になっているので、開発者としてはやりがいがある。

僕は稼ぎたい方で、名前を売りたい方ではないので、少しiPhoneのAppStoreでアプリを売るという商売が商売になるのかってことを考えてしまう。昨日はネットに繋げなかったので、じっくりと考える時間があった。

で、結論だけど、ごく個人的にでもAppStoreで個人が生計を立てられるだけの物は、結構難しいと思う。
だいたい自分が欲しい月収なり年収をアプリ単価の70%(自分に入ってくる分)で割ると、いくつアプリが売れなければならないかがわかる。計算してみるとわかるが、僕の欲しい売り上げには、結構な数量を売らなければならないというハードルがある。

これだと一個のアプリだけではむりだろうし、複数のアプリを提供しないと行けない。
また、経験上、ダウンロード売り切りの商売の場合、提供直後は普通売り上げのピークでその後売り上げはガクンとダウンする。そう考えると、結構な数をリリースしていき続けなければ、おそらく収入の維持は難しいだろう。ごく少数の定番と言われるアプリなら別であろう。これとて一度それなりのiPhoneユーザに可否を判断されたあとは、あとは、iPhoneユーザの拡大するのに合わせた拡大しか望めない。つまり、日本の携帯電話の時と異なり、新機種への機種変更がないので、一度ユーザがいらないとおもったら、その後そのユーザが購入する確率はかなり低い。あとはiPhoneへ乗り換えるユーザが増えるたびにそのユーザが新たに購入の可否を下すというチャンスがあるだけだ。勢い、売り上げを維持するにはアプリを出し続けなければならないのではないか。

実は携帯電話のゲームをリリースする会社にいたことがあるのだ。
そこで売り上げのながれだとかは多少はわかっているつもりだ。
なので、シビアに考えると上記のようなことが考えられる。

また、iPhoneの行き届く環境が整うまでにも結構まだ時間がかかりそうだ。
当初の販売国数は24カ国だし、60カ国になるには年内一杯かかるだろう。
その後それらの国に普及しだしてから、ということを考えると、整うのは来年にはいってからだろう。

また、かなりの申請されているアプリをappleがさばききれていないようだ、というのがある。
実際にAppStoreに掲載されるのは審査のような物があるのかどうかはわからないが、それに近い物があるのだろう。これだけ開発者が殺到すれば、実際に販売されない、またはいつまでも販売に乗らない物が出てくる可能性は大きい。

もう一つは、下記のようなものである。

先ほどSoftbankShopから電話が来ました。
「予約いただいたiPhoneですが、現在の状況ですとお渡しすることが出来ません、初回入荷数が余りにも少ないため年内にお渡しできないかもしれません。
との事。
事実上の予約キャンセル
これはAppleStoreに徹夜で並ぶしかねぇかなぁ?


iPhoneの現状

ということである。
だからおもったより万人に広く行き渡るには時間がかかりそうなのだ。

そういったこともあり、
冷静に考えるとiPhoneアプリ販売には過大な期待を抱きすぎないことが良いと思ってる。
基本的にWeb2.0以降の世界でわかったことは、ソフトウェアを販売する商売は下火になったと言うことである。これは世の中の趨勢で、AppStoreも70%は無料ソフトであるということは、これも時代の流れなのである。だから、よほど価値のあるソフトでないとユーザは有料で買うことは無いと思う。おそらく、同じ機能でフリーで出す奴がでてくるんで。そういった物はPCの世界で既におこったことで、PC買ってから有料のソフトをインストールすることってそうなくなったんじゃないでしょうか。そういうことだと思います。

まあ、副収入とか会社の事業のあくまで小さい一つ、としては当然挑戦しがいのあるものだと思っている。

それより僕が今一番興味があるのは、iPhoneがwebkitブラウザのプラットホームとなるということである。
ネイティブアプリもいいんだけど、やはりiPhoneの強みは、今までの携帯にないパワフルなPCに近いブラウザが乗っていると言うことだと思う。今までの携帯電話のブラウザは非力で、JavaScriptも動かず、しょぼいCSSしかつかえなかったが、iPhoneのブラウザは違う。ある意味CPUの早さを除いてはMacのSafariに近い機能をもつパワフルなプラットホームなのだ。

今、Firefox3が熱いが、実はwebkit陣営も負けず劣らず熱い。
実は今一番すすんだCSSだとかHTML5だとかJavaScriptの実装をしているのが、このWebkit陣営である。
webkitが実現するのは、ネイティブアプリの負けないリッチな環境を、(Appleのお好きでない)FlashだとかAIRだとかSilverlightだとか特定ベンダーに依存せず、世界標準仕様で実装できるようにすることだ。

このwebkitがくしくもiPhoneとAndroidという次世代のハイパー携帯プラットホームに搭載されるということは偶然だけではないだろう。ある種、AppleやGoogleがどうしたいのかという方向性に裏打ちされている物なのだと思う。

おそらく将来の携帯プラットホームはこの二者がPCの時代にAppleとWindowsという覇権で争ったようなことを行うのかもしれない。

しかし、ブラウザのプラットホームが両者とも同じということは、そこにかなりチャンスがある。
これにPC用のプラットホームのブラウザを考えると、そこには大きな大きな、iPhoneネイティブアプリ以上のビジネスチャンスのあるプラットホームが広がっていると思われる。

だから、iPhoneネイティブアプリもいいんだけど、同時にもっとwebkitの仕様ハックをしていきたい。
ここには結構大きなチャンスがあると思うからだ。

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